生物科学専攻(植物学系)・教授 松下 智直

画像
松下


 学部生の頃から北部キャンパスの雰囲気は嫌いではなかったが、気が付けばいつの間にやら、自分でも不思議なほどにこのキャンパスに安らぎを覚えるようになっていた。工学部出身の妻から、「北部って、ちょっとオタクっぽくて怖いよね」などと揶揄されると、ムキになって余計に愛着が増したりするのだが、それだけでは説明のつかない私の北部キャンパス愛は、いったいどこから来るのだろうか?自分なりに分析してみることにした。
 まず、自然豊かでのどかな雰囲気であること、これが大きな理由の1つであることは間違いない。キャンパス中が緑に溢れ、植物科学を研究する身としては、常に研究に対するモチベーションとインスピレーションを得られる環境であることは大きい。また、早朝には馬術部の馬が散歩し、夏には田んぼで蛙の大合唱、そして四季を通して様々な野鳥が訪れ木々の梢でさえずる。こうした牧歌的な風景に癒やされることの有り難みを、最近特に身に染みて感じるようになった気がする。
 もう一点、妻の指摘ではないが、北部キャンパスを行き交う人々には、良い意味でどこか俗世間とは一線を画する純粋さ・ひたむきさが感じられること。それは、ピュアサイエンスに没頭できる環境がここに整っていることを意味し、また、社会との接点がやたらと求められるこのご時世にあって、俗世間に冒されない純粋で高潔な理学本来の性質を我々に思い出させてくれる。実はこれが、このキャンパスを無性に心地よく感じさせる何よりの理由ではないかと、個人的には思っている。